ドラッグストア 分析・研究・考察まとめ

ドラッグストア界隈のリサーチ結果を記事にします。批判や、分からない点、気になるトピック等あれば、気軽にご意見いただけると幸いです。

ポイントカード施策は有効か? ①

ドラッグストア各社のポイントカード施策

「ポイントカードはお持ちですか?」

買い物のたびに耳にするフレーズである。現在、多くの小売店が顧客囲い込みの目的の下、ポイントカードを取り入れている。そして、それはドラッグストアも例外ではない。

多くのドラッグストア企業も、ポイントカード施策を取り入れている。自社カードを発行している企業、主要ポイントカードを採用している企業、ポイントカード施策は一切取り入れていない企業まで存在している。

今回は、そんなポイントカード施策について考察していきたい。

 

 

各社の対応一覧

 以下表に、ドラッグストア大手7社の対応をまとめている。

 自社でポイントカードを作成している企業は、ツルハ、サンドラッグ、マツキヨ、スギ、ココカラファインの5社である。ただし、この中でもスギ薬局に関しては、毛色が異なっている。他社のポイントが、1ポイント1円単位の価値を持つのに対して、スギ薬局のポイントは景品との交換用に限られている。

 ポイントの詳細について見ていこう。各社とも還元率は基本的に1%と設定されている。例外として、ツルハは医薬品・制度化粧品が1%、その他が0.5%と商品によってポイント還元率が区分されていた。加えて、多くの企業が特定の日や商品について還元率を上げている。ざっと見る限りでは、一番優遇されるポイントカードはココカラファインのココカラクラブであろうか。毎月5の倍数の付く日は、全品5%還元であるため、他社よりも使い勝手の良い印象を受ける。

 

 その一方で、ウエルシアとコスモスは自社カードを持っていない。

 ウエルシアは、自社カードを作る代わりに、Tポイントカードを採用しているようだ。そのため、条件付きのポイント増加もTポイントについて設定されている。毎週月曜はTポイント還元率が2倍になり、20日はTポイントが1.5倍で使用できる。

 コスモスはさらに独自路線を行く。この企業は、自社カードを持たないだけでなく、楽天やTポイントのような主要ポイントカードについても導入していない。また別の機会に記事にしたいが、コスモスはコスト削減に最も力を入れているドラックストア企業である。ポイントカード施策についても、個人情報を管理するコスト、データ分析や販促のコストなどが発生するとして、完全に採用していない。それよりも、少しでも商品価格の低さに反映するという方針だ。

 

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ポイントカード施策は有効か?

 以上が、ドラッグストア大手7社のポイントカード施策である。コスモスを除く各社はポイントカードを取り入れているようだ。では、その施策は有効な施策であるのだろうか?

 ポイントカード施策の最大の目的は、顧客の囲い込みに見いだされる。自社で買い物をすればするほど、ポイントが積み重なるため、顧客が買い物先を他社に乗り換えるコスト、いわゆるスイッチングコストが増加するからだ。それゆえ、ポイントカードの有効性は、顧客がカードから得る便益に依存する可能性が高い。

 

 しかし、ポイントカードから得られる便益に差はあるだろうか?各社とも基本ポイントは1%である。つまり、100円買い物するたびに、1円分のポイントが付加されるということだ。日用品・食品の買い物頻度は高いため、1%といえども長い目で見ればメリットとなるのは確かだが、1回の買い物で付与されるのはせいぜい数ポイントに過ぎない。メリットが実感できるまでのタイムラグを念頭に置くと、そこまで訴求力が高いだろうか?個人的には、家・職場の近くに存在するかというような、立地上の要素の方が行動を左右する印象を受ける。